遠慮深いことが美徳とされていた時代は遥か昔。大きな声で自分の権利を主張する者が得をし、他人様に迷惑をかけてはいけないと真面目に生きる人が損をすることもしばしば。
権利の…
主人公のサナエは、マスコミを見下しながらも、彼らが望む「けなげな被災者」を演じることで生きる気力をとり戻していく。
実際、取材が入った地域には多くの支援物資が届くように…
窪美澄作品に出てくる人物はみんな、残酷なほど正直だ。とても静かなのに、人間の不完全な部分を容赦なく、えぐってくる。
日常にかすかに漂う閉塞感や、華やかさとはほど遠い現実…
神経科なのに、診察にきた患者はまずビタミン注射を打たれる。患者の腕に刺さる針をじっと見つめて、医者は鼻息を荒くしている。そう、この医者、かなりヤバイ。
でもこのヤバさが…
看板犬、ネコ駅長、川にひょっこり現れたアザラシに住民票を交付しちゃったり、本物の動物がマスコットとなって人気を集めるケースはよくある。それなら、看板ライオンだっていても…
明るく社交的だった自慢の母が、病によってどんどん変わっていってしまう。母を好きだからこそ、その現実を受け入れることができずに悩む娘の感情が、赤裸々に描かれている。
いまさらアガサ・クリスティーの読書感想文をウェブに書く?
発売からすでに80年以上。数え切れないほどのお歴々が書評を書いてきているだろうし、ショッピングサイトのレビュ…
家族だからというだけで無条件に愛情が芽生えるわけではない。互いに無関心だけど、長く一緒に暮らしていたから相手のことはある程度分かってしまう、だから余計にイライラする。そ…
高校の図書館に古いシェイクスピアの全集があった。「おや、妖精ぢゃないかどこへゆくの?」なんて古めかしい書き方をしていたので決して読みやすくはなかったが、なんだかその本が…