お母さん、やっぱりアルツハイマーだったよ。

あらすじ

はじめは加齢による物忘れだと言われた。それが病気だと分かるまで5年かかった。62歳でアルツハイマーと診断された母と、それを支える父、そして家族。

症状が出始めてから18年に及ぶ家族の記録を、娘の目線から描いたエッセイ漫画。

明るく社交的だった自慢の母が、病によってどんどん変わっていってしまう。母を好きだからこそ、その現実を受け入れることができずに悩む娘の感情が、赤裸々に描かれている。

「まんがで読む家族のこころと介護の記録」というサブタイトルの通り、介護に向き合う家族の記録だ。

もともとは「認知症の人と家族の会」の会報に掲載していたからか、介護のノウハウや、現在の制度がかかえる課題など、かなり実用的な情報が詰まっている。

もちろんつらいシーンもあるけど、柔らかいイラストのおかげでとても読みやすい。

著者は作中で、アルツハイマーは「その人らしさを奪っていく」病気だと書いている。

会話、食事、歩行、どんどんできることが減っていく母に、一日でも長く日常に近い生活を送ってほしいと願い力を尽くす家族。長期間に渡る介護でその姿勢を貫くのは、家族といえど、とても難しいはず。

その支えになっているのが、母との思い出。母がどんな人物であったか。自分にとってどんな存在なのか。母にこれから先どうすごしてほしいのか。

さぞかし素敵な女性だったんだろうな。

介護の記録ではあるけれど、家族のアルバムを見せてもらっているような、温かい気持ちになれる作品。