おおきなこえをだしたのは、どなたですか?

  • としょかんライオン
  • 著 : ミシェル・ヌードセン/絵:ケビン・ホークス/訳:福本友美子
  • 出版 : 岩波書店

あらすじ

ある日、図書館に大きなライオンがやってきた。図書館員はびっくり。でも図書館のルールを守るライオンはすぐみんなの人気者に。

そんなライオンが、ある時ルールを破って大声でほえてしまう。それには理由があって……。

看板犬、ネコ駅長、川にひょっこり現れたアザラシに住民票を交付しちゃったり、本物の動物がマスコットとなって人気を集めるケースはよくある。それなら、看板ライオンだっていてもいいはず。

ニューヨークの図書館の前の石像ではなく、生きている方のライオンの話。オリなし、鎖なし、ネコみたいにそのへんでゴロゴロしている。いや、それじゃ怖がって人が寄りつかないんじゃ……いやいや、絵本なんだから、いいじゃない。

人間が生活する場所に突然ライオンが現れたら、普通はビビる。

でもこのライオン、結構、話の分かるやつ。毎日午後から始まる絵本の読み聞かせを楽しみにしていて、待つ間に図書館の仕事まで手伝ってくれる。尻尾で棚のホコリを払ったり、子どものために踏み台になってあげたり、クッションになってあげたり。あっという間に図書館の人気者になってしまう。

図書館という、だれでも自由に出入りできる開かれた独特な場所。ルールさえ守れば、だれだって、何をしたって構わない。例えそれが、ライオンであっても。

そしてライオンはなぜルールを破ったのか。その理由がじんわりくる。
「ルールを守るとはどういうことか」をさりげなく考えさせてくれる絵本。

そして、ライオンがとにかく、かわいい。

大きな背中に寄りかかって本を読んだり、たてがみを枕にして昼寝したり、大きな肉球をむにむにしたり、してみたい。しゃべれこそしないけど、人の言葉を理解して、優しくて、もふもふ。連れて帰りたい。

いやいや、よく考えろ。実際この子がうちにきたら部屋中が毛だらけになるし、結構臭うだろうし、いつもきてくれるクロネコのおじさんは猫アレルギーだって言ってたからかわいそうだ。

ライオンを現実に連れだそうとすると、そういう夢がないことが押し寄せてくるけど、絵本にはすべてを受け止めるふところの広さがある。この設定のゆるさがいいんだよ、絵本は。