あらすじ
“大地の犬”のうなりによって崩壊した町で、野良犬のラッキーはきょうだいのベラと再会する。
ベラは近所の仲間達と一緒に、いなくなった飼い主を探していた。
身を守る術を知らないベラ達。見かねたラッキーは彼女達を連れて町を出る。
犬の冒険ファンタジーシリーズの第1段。
“大地の犬”のうなりによって崩壊した町で、野良犬のラッキーはきょうだいのベラと再会する。
ベラは近所の仲間達と一緒に、いなくなった飼い主を探していた。
身を守る術を知らないベラ達。見かねたラッキーは彼女達を連れて町を出る。
犬の冒険ファンタジーシリーズの第1段。
「この子は野生じゃ1日も生きられない」
自分のペットに対してそういう風に言ったり、言うのを聞いたことがある人はきっとたくさんいるはず。
面白いのは、この作品に出てくる飼い犬達にその自覚があること。
自分だけの力で生きていくのなんか絶対に無理だと思っている。
ひとりではダメ。でも、もし仲間が一緒だったら?
飼い犬達は、自力でエサを獲ったことはもちろんないし、ニンゲンならだれであろうと自分と遊んでおやつをくれると思っている甘えん坊ばかり。
飼い犬達が、次々に危険に飛び込んでいく(無自覚に、しかも7匹もいる!)ものだから、そのたびにラッキーは大慌てで助けに行く。
ところが助けてあげたはずなのに文句を言われたり、忠告しても「臆病」と聞く耳を持ってくれなかったり、なかなか報われない。
それなのに仲間から離れていかないラッキー。お前、いいやつだな。
正直、最初はこの飼い犬達の区別が全然つかなかった。
大型はどっしり構えていて、小型犬はキャンキャンうるさいくらいしか見分けつかなくて……。
でも鍛えるうちに、どんどんたくましくなっていって、鼻が利くとか、泳ぎがうまいとか、それぞれの特技も分かってきたら、急に区別がついて愛着も湧いた。
そして、自分だけの力で生きてきたことに誇りを持っていたラッキー自身も、少しずつ仲間に対する考え方が変わっていく。
この1冊でラッキーもずいぶんたくましくなったけど、これからもトラブルに巻き込まれそうな予感がする。
いいやつだからなぁ、苦労しそう。