ずっと終わってほしくない わくわくばかりのゆめじかん

あらすじ

毎年、夏になると広場にやってくるサーカス。
8歳の女の子は、父に頼んで今年もサーカスへ連れて来てもらう。

ところが、楽しいはずステージから煙が上がり始める。

去年、サーカスを見に行ったけど、行く前はあまり気乗りしなかった。

小さい頃にも1回見たのだが、なんであんな危ないことをするのか理解できなくて、ただ怖かった記憶しかない。

そんなわけで期待値マイナスで迎えた人生2度目のサーカスは、自分でもちょっとびっくりするくらい楽しかった。
ようやくスリルが分かる年になったってことかしら。

作者が子どもの頃に体験した事実をもとに書いたという童話。

サーカスで火事に巻き込まれるというショッキングな話だけど、怖いイラストはひとつもない。

それなのに、緊張感がひりひりと伝わってくる。

序盤の文章は、ドキドキわくわくしている主人公の気持ちと同じく、リズミカルにスキップしている。

直接的な言葉が出てくるわけではないのに、スリルが徐々に恐怖に変わっていくのが分かる。

ラストには、非日常で満ちたテントから外に出た瞬間の寂しさとか、名残惜しさみたいなものが女の子の成長と結びついていて、短いお話なのに、最初と最後で、文章から受ける印象がずいぶん違う。

読み終わってすぐ、1ページ目に戻ってしまった。