むすめは おだんごを おいかけて はしりだしました

あらすじ

山に芝刈りに行った娘は、お昼のお団子を落としてしまう。

ころころ、ころころ、転がったお団子は、山向こうの鬼の家に転がりこんでいった。

すると家の中から、お団子を食べながら鬼が出てきて……

桃太郎、浦島太郎、花咲かじいさん……昔話の主人公は男性が多い。

かぐや姫とか鶴の恩返しとか、女性がメインの作品もないわけではないけど、みんなおしとやかというか、控えめなキャラクターになる。

けれど出版物として広く出回っていないだけで、日本全国には、各地域で語り継がれてきた昔話がまだまだ存在する。

その中から、女の子が主人公のお話を聞き取り・再話したシリーズ。

まず、布や縫い糸で描かれた絵が、あたたかくて素敵。

怖いはずの鬼でさえ、どこか愛嬌がある顔に見える。
ピンチを乗り切った時の娘のドヤ顔も最高。

主人公の娘は、おかっぱで切れ長の目をした、芯が強そうな印象の子。

そして、食べようとしたお団子を3つも立て続けに落としてしまう、とんでもないドジっ子。

かと思いきや、機転を利かせてピンチを乗り切るたくましさもある。

結末が「結婚して家族に囲まれていつまでも幸せに暮らしましたとさ」ではないというのも、興味深い。

自由に自分の人生を歩んだんだろうなと想像させてくれるラスト。

文章のリズムも楽しくて、読み聞かせとの相性も良さそう。