あらすじ
少女がバイソンに出会ったのは4歳の春のこと。
友達になり、それから長い時間を共にすごしたふたり。
お別れをしても、雪が降る季節になるとバイソンは必ず少女のもとに帰ってくる。
ところが、ある冬、バイソンが帰って来なかった……。
少女がバイソンに出会ったのは4歳の春のこと。
友達になり、それから長い時間を共にすごしたふたり。
お別れをしても、雪が降る季節になるとバイソンは必ず少女のもとに帰ってくる。
ところが、ある冬、バイソンが帰って来なかった……。
肩のあたりが盛り上がっていて、顔の周りにみっちり生えた毛から、角が飛び出ている。
筋肉の塊みたいな、無骨な、でかい牛。
それが私の中にあった、バイソンのイメージ。
でもこのバイソンのどっしりとした佇まいは、どこか神聖。
それでいて、使い慣れた毛布みたいにすぐそばにいてくれる安心感がある。
真っ白な背景の上に、真っ黒なバイソン。
といった具合に、黒が印象的な絵本。
ふたりが一緒にいる時間が増えていくにつれ、雪のまぶしさや、透き通るような寒色が際立ってくる。
少女とバイソンが一緒にいられるのは、雪の季節だけ。
でもふたりが一緒にいる場面からは、冷たさや寒さを感じない。
雪の日特有の、あの静けさがずっと漂っている。
外界から遮断された、少女とバイソンだけの世界。
他のだれも入ってこられない深いつながりが、ふたりの間にはある。
いつの間にか、ふたりを見守るような気持ちで読んでいた。
静かなその時間がずっと続くように。