あらすじ
イギリス、ウィンザー城のクローゼットの中から若いピアニストが遺体で発見される。
警察やMI5はスパイによる殺人と見て捜査を進めるが、容疑者は50人もいて難航する。
ウィンザー城の主・エリザベス女王は、独自に捜査を開始する。
イギリス、ウィンザー城のクローゼットの中から若いピアニストが遺体で発見される。
警察やMI5はスパイによる殺人と見て捜査を進めるが、容疑者は50人もいて難航する。
ウィンザー城の主・エリザベス女王は、独自に捜査を開始する。
御年90歳、穢れを知らぬ高貴なお方。言い換えれば、世間知らずの老婆。
無意識にそんなふうな見方をしている人もいるらしい。
でも、実はそう思わされているだけなのかも……?
エリザベス女王をモデル、というかそのもの本人を主人公にしたミステリー。
読み終わってすぐのタイミングで崩御のニュースを見たので、ショックだった。
イギリスの文化はよく知らないし、国民にとって女王がどんな存在なのかもちゃんとは理解していない。
でも今作で描かれる女王は、威厳がありながらチャーミングで、あっという間に好きになった。
女王は使用人達を家族と同じように大切にしていて、最大限の敬意を払っている。
だから使用人は、みんな滅私奉公でついてくる。
例えそれが、非公式の事件捜査であっても、忠実に遂行する。
女王はその立場上、自ら捜査するわけにはいかない。だから人を使う。
それがこの作品のおもしろいところ。
集めた真相のピースを、捜査当局にそれとなくつかませる。
その後、意気揚々と報告してきたら「まあ、なんてこと」などと驚いたふりをして、功労を称える。
みくびっている相手の手の平で転がされているなんて夢にも思わない者達は、これからもお任せあれとしっぽを振る。
最初から最後まで痛快なミステリー。