あの子に何をしたの、ウーロフ?

あらすじ

14歳の頃に凶悪事件を起こしたウーロフが23年ぶりに実家に戻ると、父が死んでいた。

ウーロフに父親殺しの容疑がかかるが、警察官補のエイラは疑問をいだく。
捜査を進めるうちに、過去の事件についても不審な点が見つかっていく。

あの人も、この人も、隠し事がある。
それぞれ事情があって、完璧な悪だと責めることはできない。

みんな必死に自分の生活を、ささやかな幸せを守ろうとしている。
例え、他人を貶めることになったとしても。

だからこそ、闇が深い。

舞台はスウェーデン北東部。
田舎町で起きた、いくつかの事件をめぐる物語。

事件現場が地元ということで捜査に抜擢されたエイラ。
行く先々で顔見知りや、家族の知り合いと出会う。

自分の親も、そのまた親も、ずっとこの地で育っている。
そんなせまい共同体と、連綿と続く人間関係が、常に不穏な影を落としている。

登場人物は多いし、いくつもの事件の話が出てきて、何をやっているのか混乱しそうになる。

でも後半には、きれいに整理されていく。
事件はシンプルだけど、そこに関わる人々の事情や思惑が、真相を霧の奥に隠していたのだとわかってくる。

放り出されたみたいなラストは、感情をどこに持っていけばいいのか、わからなくなった。
イヤミスともちょっと違う、やるせなさが残る。

どう受け止めたのか、読んだ人と語り合いたい。