これを狩るのが公序良俗か。そんなのヘンだ。

あらすじ

メディアに対する検閲が横行するようになった日本。
力づくで検閲を行うメディア良化委員会に対抗するため、図書館は武器を取り戦い続けている。

高校生の時に良化委員会から救ってくれた隊員に憧れて、図書隊に入隊した郁(いく)。
鬼教官の堂上(どうじょう)に毎日怒鳴られながら訓練を積む。

図書館が本を守るために銃を持って戦うなんて、読む前は突拍子もない設定だと思ったけど、あっという間にこの世界にのめりこんだ。

説明は最初にちょっとだけ、細かいところは読みながら自然と理解できる。

検閲、言論統制への強いメッセージがこめられてはいるけど、エンターテインメントに落とし込まれているから、説教臭さはまったく感じない。

図書隊と良化委員会の戦いや、政治的な駆け引きのシーンはテンポがよくて、どんどん読み進めてしまう。

もうひとつの魅力が、個性的なキャラクター。
真っすぐで無鉄砲な郁と、彼女を取り巻くキャラクターたちとのコミカルな会話や関係性が楽しい。

なんといっても教官である堂上との柔道のシーン。
上官に背後からドロップキックをかまして腕ひしぎで返り討ちにされる女とか、どんなだ。

バトル、駆け引き、友情、笑い、恋愛、全部入っていて、1冊で何度もおいしい。

番外編まで入れると6冊あるから、まだまだ楽しめそう。