寂しいときは、ひとりで暗いところにいてはだめなのよ

あらすじ

古くから、ひっそりと人に紛れて暮らしている魔女たち。
人の人生や別れを、寿命の長く心優しい魔女たちが見守る。

切なくて温かい気持ちになれる短編集。

タイトルも詳しい内容も忘れてしまったけど、小さい頃、同じ絵本ばかり何度も読み返している時期があった。

短いお話で、すぐに終わってしまうのが寂しくて、終わったらすぐに最初のページに戻っていた。

この作品を読んでいる間、中身はまったく違うはずだけど、その頃に読んでいた絵本が長くなって帰ってきたみたいな懐かしさがあった。

人にはなかなかたどり着くことができない魔女のいる店。
年に一度、お盆にだけ会える古い友人。
意識を持ったお人形の旅……

こんなことがあったらすてきだなと思える、日常にひそむちょっとした不思議の数々。

寿命が違いすぎるので、町に暮らす魔女は人と一定の距離を保っている。
魔女から見れば、人の人生はほんの一瞬で終わってしまうから。

でもめぐり会えた人にはおいしいココアでもてなしてあげたり、望みが叶うようにそっと手を貸してあげたりする。

短い人の一生を慈しみ寄り添う魔女たちの優しさが、ひたすら温かくて、切ない。

嫌な人はひとりも出てこない。

タイトルの通り、悪い夢を見たくない夜におすすめの一冊。