比喩としてではなく、これは自分の物語だ。

あらすじ

書店の契約社員として働く京子。ポンコツ店長のおかげで今日もイライラ。
トラブル続出で毎日忙しいけど、本が好きだからなんとか辞めずに続けていられる。

ところが、憧れていたカリスマ書店員が店を辞めることになってしまう。

店長や困った常連客のことを心の中でののしったり。
「マジで本気で辞めてやる!」と思いながらずるずる続けてしまったり。

働く人ならきっとどこかしら共感できるエピソードがあるはず。

文章もコミカルで、あー分かる分かる、とうなずきながらサクサク読み進められる。

忙しい時間帯だというのに朝礼で長い演説を打ったり、間の悪い時に神経逆なでするようなことを言ったり、無自覚かつ的確に主人公のメンタルを削りにくる店長。

(おそらく)悪気はないから何を言っても通じないし、改善されることもない。

あぁー、こういう人、いる。

でもこういうキャラクターって、実は憎めないやつだったりするんだよなー、と信じて読み進めたけど、予想に反して、いつまで経っても名誉挽回してくれない。

おっ、頼りになるかも、と思わせといて、そのあとすぐに、それを上回る的外れっぷりを発揮してくれちゃう。

もしかして本当にただのポンコツなの? それとも脳ある鷹は的な? えっ、どっち? とまんまともてあそばれた。

客として利用する側はなかなか知ることができない、本屋さんの裏側についても描かれていて、本好きにはそこも楽しいポイント。

読み終わる頃には、本はちゃんと本屋さんで買おう、と思うようになるお話。