あらすじ
小学6年生の理一郎(りいちろう)は、成績優秀でムダなことや言葉で説明できないことが嫌い。
帰り道、同じ学校の海空良(みそら)と出くわした理一郎は、ある家へ連れて行かれる。
そこは理一郎が会いたくないと思っていた大智(ひろと)の家だった。
小学6年生の理一郎(りいちろう)は、成績優秀でムダなことや言葉で説明できないことが嫌い。
帰り道、同じ学校の海空良(みそら)と出くわした理一郎は、ある家へ連れて行かれる。
そこは理一郎が会いたくないと思っていた大智(ひろと)の家だった。
理一郎は自分の常識から外れたものや、理解できないものに出会う。
戸惑いはしても、決してそれを否定したり笑ったりはしない。
“うちはうち、よそはよそ”という、優しい無関心が根底にある。
異なる個性を持った登場人物が、みんな自然にお互いを許容し合っている。
だから、安心して読めた。
ちゃんと計量せずにお菓子を作って何度も失敗する、天真爛漫な海空良。
はっきりした理由があるわけではないけれど学校に行っていない、ちょっと不思議な大智。
なんでも明確な理由を求める理一郎にとって、ふたりは理解不能な存在。
けれど、そんなふたりと行動をともにするうちに、理一郎自身も説明がつかない感情に出くわすようになる。
個人のアイデンティティや家族の形など、色々な多様性が描かれている。
これまで自分が普通だと思っていた形に当てはまらないものに次々と出会い、それらをじっくりと見つめていく理一郎の姿勢は、好感が持てる。
なんて書いていたらすごく説教くさく見えてしまうけど、お話は夏にピッタリの爽やかな作品。
理屈っぽかった理一郎が、年相応の子どもっぽさを手に入れていくのは微笑ましい。
登場人物がみんないいキャラをしていて、ずっとなかよしでいて!
と願わずにいられない。