『かみさま』なんていないのだ

あらすじ

何も信じず、だれにも頼らず、ひとりで生きてきたのら猫。

ある夜、飼い犬の食べ残しのエサをこっそり食べていたのら猫は、エサの持ち主の老犬に見つかってしまう。

近所に、のら猫のたまり場がある。
ひなたぼっこしている猫たちは人馴れしていて、機嫌がよければ触らせてくれる。

でも中には、視線を向けただけで逃げるほど警戒心の強い子がいる。

もしかしたら、そういう子はまだ「かみさま」に会えていないのかもしれない。

子どもには、知らない人は気をつけるよう教えなきゃいけないこのご時世。
他人からの善意にも、何か裏があるんじゃ?と警戒してしまうこともしばしば。

主人公ののら猫は、いつも強がっていて、他人はすべて敵だと思っている感じ。

そんなのら猫が、生まれて初めて他人の優しさに触れる。

最初はツンケンしていたのら猫が、最後に素直な気持ちを口にできた時は、救われたような思いがした。

ただ黙って相手を受け入れる、そういう懐の広い優しさが響くのは、今の時代だからこそかも。

……まあ、私が近所ののら猫に受け入れられないのは、単に嫌われてるだけかもしれないけど。