あらすじ
婚約を破断にされて実家に戻るしかなかった富士(ふじ)は、目にしたチラシに導かれるように芝居を見にいく。
後日、その劇団からスタッフとして力を貸してほしいと言われ入団することに。
ところがこの劇団は、内部分裂でメンバーが激減し消滅寸前の状態だった。
頼られると張り切っちゃう性質を持つ富士は、持ち前の「しきりぐせ」で劇団を復活させるため奮闘する。
婚約を破断にされて実家に戻るしかなかった富士(ふじ)は、目にしたチラシに導かれるように芝居を見にいく。
後日、その劇団からスタッフとして力を貸してほしいと言われ入団することに。
ところがこの劇団は、内部分裂でメンバーが激減し消滅寸前の状態だった。
頼られると張り切っちゃう性質を持つ富士は、持ち前の「しきりぐせ」で劇団を復活させるため奮闘する。
劇団の話なのに、なかなか芝居が始まらない。
残っている団員は、芝居の才能や情熱はあるのに、そのための現実的な準備は何もできない者ばかり。
演劇ド素人の富士の最初の仕事は、前回の公演の後始末をし、バラバラな方向を向いている団員たちの手綱を握って次の舞台へ向かわせること。
これは舞台を作り上げる話ではなく、劇団を再生する物語。
いつも人の面倒ばかり見ていた富士は、自分の感情とかやりたいことに対してどこか無頓着。
そんな富士が、夢見る者の集合体たる劇団に入ったら苦労するのは、まあ当然の流れ。
力を貸してほしい、と言われて入ったはずなのに、個性が強すぎる団員たちはちっとも協力してくれず、富士は翻弄されっぱなし。
でも、そういう追い詰められた時の富士の脳内がすごい。
小さい頃から、本能のまま走り回るきょうだいたちの子守をしてきた経験値をもとに、最適な対処法を瞬時に算出。
エサでおびき寄せる、黙らせたければエサを与える、罪悪感を突く、取り上げるふりをして相手にやらせるよう仕向ける。
策士というか、腹黒というか……。
でも団員たちがまんまとはまってくれるものだから、これまた痛快。
団員たちの手綱を引いたり引きずられたりしながら、やっとのことで形になった舞台の達成感はひとしお。
やりたいことが見つからない、好きなことが分からない。
それでもとにかく目の前のことに必死に挑み続ければ、見えてくるものもあるのかも、って前向きになれるお話。