あらすじ
父の裁判をきっかけに裁判所書記官になった宇久井(うぐい)。
ある日、裁判を終えて法廷を出た宇久井は過去にタイムスリップする。
そこは5年前、父の裁判の初日だった。
父親の有罪判決に疑問を持った宇久井は、タイムスリップを使って真相を解明しようとする。
父の裁判をきっかけに裁判所書記官になった宇久井(うぐい)。
ある日、裁判を終えて法廷を出た宇久井は過去にタイムスリップする。
そこは5年前、父の裁判の初日だった。
父親の有罪判決に疑問を持った宇久井は、タイムスリップを使って真相を解明しようとする。
当事者にとって裁判や判決は、その後の人生に大きな影響を与える。
へたをしたら、事件そのものよりも大きな影響を。
そう考えると、事件を見極め、裁く立場にいる裁判官の責任は、とんでもなく重たい。
父にまつわる事件の裁判がトリガーとなって、過去と現在を行ったり来たりする。
法廷がタイムマシンという、ちょっと変わったタイムスリップもの。
ただ、そこで展開されるのはしっかりしたミステリー。
書記官の経験と知識を駆使して、過去に隠された謎を解き明かしていく。
けれど、そこで宇久井は迷う。
過去で取った行動によって、現在が変わる。
父やその周りの人の人生が変わってしまう。
それはつまり、裁判官が判決を下すのと同じ重責が、自分の肩に載っているってこと。
加えて、法的な正しさと、心情的な正しさ、どちらを取るかという難題にも立ち向かわなければならない。
そんなの、怖いに決まっている。
でも、読後感はとってもすっきり。
登場人物がみんな逃げずにたどり着いた結末は、希望で満ちている。