ママは幸せやで。誰になにをいわれてもな。

あらすじ

水商売で家計を支えるママはあまり家にいなくて、いつも他に恋人がいた。
ケチな父は娘たちから目の敵にされていて、ママの恋人のことも知っているけど、なぜか別れない。

そんな奇妙な共同生活の中で育つ主人公は、はちゃめちゃだけど芯が通ったママの生き様に憧れながら成長していく。

この作品で光るのはママの明るいキャラクター。これに尽きる。
快活で自由奔放、失敗しても、落ちこんでも、超ポジティブ。

ちょっと変わっているけど、料理がうまくて、美人で、愛にあふれた、自慢のママ。

そんなママの半生を、娘の目線で描いた小説。

ポンポン飛び出す関西弁の会話、ママのテンポに乗せられてあっという間に読めてしまう。

心のままに行動してしまうママに娘たちが振り回されることもあり、安定からはほど遠い家庭だけど、ママにかかればどんなこともすぐに笑い話になってしまう。

自分の失敗を棚に上げて考えを押しつけている、と娘から文句を言われたママは

「失敗して、すごすごと戻ってきて、かっこ悪いのみんなに見せてるやろ。
ママに棚はないで。地面にゴザ敷いて並べて、全部さらして生きてるんや」

なんてのたまう。
図太くて説得力のある言葉がたくさん散りばめられている。

恋に仕事にエネルギッシュなママは、うまくいかないことも多いけど、それでも自分で選んだ人生だから後悔はない。

包み隠さず、自然と周りにいる人も前向きにしてくれる。
そんな素敵なママのお話。