We are all alone

あらすじ

「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」
探偵の茶畑(ちゃばたけ)のもとに舞い込んできた不思議な依頼。

始めはまったく信じていなかった茶畑だったが、調査を進めるうちに、茶畑自身も徐々に前世の記憶が蘇ってくる。

それは、助手や周りの者たちにも広がっていく。

はっきり言うと、バイオレンスが苦手な人にはまったくおすすめできない。

私は学生の頃から、ご飯を食べながらクライムドラマの死体解剖シーンを見て鍛えてたから平気だったけど。

それでもあの「活造り」シーンは、ちょっと……びっくりした。
いやぁ、よく思いつくなぁ。

依頼人を納得させられるような答えをなんとかして探そうとする探偵パート。
眉唾だと思っていた前世の話が、リアルな夢となって迫ってくる前世パート。
主人公を「この依頼が解決できなければ死」の状況へ一気に追い込み、さらに追い立てていくバイオレンスパート。

まったく温度が異なるパートが行ったり来たりする。

中でも印象的なのは、夢で見る前世の記憶。
そこに登場する人物は、時代も地域も性別も立場も、つながりがまったくない。
共通点があるとすれば、必ずバイオレンスな展開になるってことだけ。

おまけに、どれもいいところで主人公は目を覚ましてしまう。
え、ちょっと待ってよ、このあとどうなったの? とか言ってる間にどんどん話は進んでいく。

そもそもこれはミステリー? サスペンス? スピリチュアル?
私はいったいどこへ連れて行かれるんですか?
後半はずっとそんな調子。

それでいて、すぐそこにバイオレンスが迫っている緊張感は常に漂っている。
そんなピリピリした空気の中、目隠ししてアクセル踏み込むみたいに突っ走っていく主人公は、鬼気迫る迫力がある。

散々翻弄されたあとにたどり着く結末がまた、なかなかにぶっ飛んでいる。
それまで見えていたものが小さく感じるというか、世界の理や固定観念をぶっ壊しにくる、不思議な物語。