宝さがしにたいせつなのは、中身じゃない、ロマンだ、って。

あらすじ

ひとり旅が好きな男の子・ケンは、長期出張中の父に会いに行くため、ひとりで電車に乗る。

車内でケンは、失われたうみねこ族の宝をさがす不思議な黒ねこ・サンゴロウに出会う。
サンゴロウに誘われたケンは、途中下車して一緒に宝さがしの冒険に出る。

このシリーズを最初に読んだのは、小学校の図書室で。
いつも歯抜けに貸し出されていたから、まったく順番通りに読めなかった。1冊完結とはいえ、やっぱり、ね。
しかも、なぜか1巻だけは一度もお目にかかれないまま卒業。

だから古本屋で見つけた時の感動ときたら、それこそ宝を探し当てたみたいに嬉しかった。

いつも凪いだ海のように落ち着いているサンゴロウ。
でも日頃から冒険しているだけあって、言動は結構、大胆。
そこがまたカッコいいんだなー。

ケンはしっかり者で、親の目を気にするちょっと小心者なところがある子。
でも宝探しと聞いてワクワクを抑えきれなくなっちゃう、やんちゃな一面も。

シリーズ1作目にあたる今作は、いわばサンゴロウの冒険の序章。
全作を通してとても静かな印象だけど、今作は中でもとびきり静か。

子どもでもギリギリできる、地に足がついた冒険(実際やったら相当ヤバいけど)。

お話の終わりも、潮が引いていくみたいに穏やか。
ちょっとだけ切なさが残る感じも、懐かしくてたまらなかった。

今読み返しても、子どもの頃とおもしろさは変わらない。
シリーズ全部、大人買いしちゃおうかな……。