どんなことやどんなものにも、物語があるんじゃよ

あらすじ

本が大好きな女の子・ステレは、おじいちゃんとふたり暮らし。
おじいちゃんから、だれもいないお城にある「お話の図書館」のことを聞いたステレは、ひとりで探しに行く。

やっと「お話の図書館」を見つけたステレは、そこで読んだお話を村の人にも聞かせてあげて、あっという間に人気者になる。
ところが、村のはずれにはお話嫌いの魔女が住んでいて……。

廃墟となった大きなお城で、たくさんある扉の中から「お話の図書館」を探していくシーンはドキドキ。

ハズレの扉を開けると怖い思いをしたり、びっくりしたりするけど、ステレに合う扉は、ステレにしか見つけられない。
なんか、それって、自分に合う本を探すのと似ているのかも。

まず目を引くのは、挿絵。
線が温かくて、モノクロなのに色鮮やかに見える。
「お話の図書館」でステレが本を読みふける時の挿絵など、いったいどんなお話を読んだんだろうと、想像がふくらんでしまう。

色々な世界へ行けて、色々な生き物に出会えて、本を読むって楽しいじゃん!
そのわくわくが、ステレから村の人々へ伝染していく。

物語に触れれば、人の心は何かしらの影響を受けるし、人から人へもそれは伝わっていくはず。

ひとりぼっちの代名詞みたいな扱いが多い読書を、人と心をつなげる目に見えない力の根源として描いているのが、本好きにはちょっと嬉しい。

個人的にはおじいちゃんが好き。
優しくて、ひょうひょうとしていて、いつも肩に乗っているリスとふたりだけで何かおしゃべりしている。
話が進むほど、ミステリアスな魅力は増していく。

なんだったら、おじいちゃんメインでもう1本作れそう。
わくわくする。