目覚めたら、久住海斗は別人になっていた。

あらすじ

高校生のカイトと、異世界の暗殺者アベルの魂が入れ替わった。

戻る方法がわかるまでの間、今いる世界に順応しようとするカイトだが、入れ替わり前にアベルが引き受けた暗殺依頼の実行期限が迫る。

一方アベルは、登校するたび半グレグループとつながるいじめっ子たちに囲まれる毎日を送っていた。

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異世界転生ものと、入れ替わりもののミックス。

そこにプロの暗殺者と現代のいじめられっ子という、生存競争ピラミッドの上位と下位を当ててくるのがおもしろい。

一見すると、ふたつの世界はまったくなじみそうにない。
しかし常にうっすら漂う危険の香りと、そこを生き抜くという共通点が貫き、一気に読ませてくれる。

ふたりとも入れ替わりに戸惑いつつ、冷静に順応しようとする。

カイトは依頼を遂行するための戦い方を学び、経験不足を補うための武器を用意する。

アベルは貧弱な肉体を変えるべく筋トレと体力づくりに精を出す。
複数人を相手に戦える体が整うまで、学校ではいじめられっ子を演じ続ける。

夢の中でふたりは会えるので、情報交換も特訓もできる。

本当にこれでいいのかなというくらい、大きな問題は起きずに時がすぎる。

まあ、そのあと怒涛の展開に突入していくわけだが、ふたりともばっちり準備をしているので、気持ちよく物事が進んでいく。

意外だったのは、物語よりも先に主人公ふたりのメンタル面に変化が訪れたこと。
無気力ないじめられっ子が暗殺の世界に慣れはじめ、暴力で自由を勝ち取ってきた暗殺者が学生生活を楽しむ。

もともとの人間性と環境による変化とが混じり合って、物語を進める推進力となっていく。

ふたりの物語はまだまだ続きそうなラストだったので、続きがあるならぜひ読みたい。