もっとスピードをくれ。つよさをくれ。奇跡をくれ

あらすじ

テールは海の宅配便「ドルフィン・エクスプレス」の配達員。

あるときドルフィンは、ライバル会社の「カモメ・ネットワーク」と配達エリアを賭けてレースをすることになる。

元ヨットレーサーのテールは、会社からレースに出場するように頼まれてしまう。

以前『黒ねこサンゴロウ』の感想を書いたあと、続編の『黒ねこサンゴロウ旅のつづき』まで、結局シリーズ全巻買いそろえた。

でも、スピンオフ作品があったことは知らなかった。
しかも去年、新装版が出たそうで。

これも買いそろえて一気読みした。
サンゴロウシリーズの読者には嬉しい驚きもあって、大満足。

主人公のテールは、会社のスピードボートで島から島へ荷物を届けるのが仕事。

愚痴を言いながらも仕事熱心で、お人好しで、つい強がっちゃうこともある、とても親近感が湧くキャラクター。

そんなテールが配達を通して、さまざまな人に出会ったり、トラブルに首を突っこんじゃったりするシリーズ。

海でのちょっと不思議な冒険はもちろん、お仕事小説的な側面もある。

全5巻どれもおもしろかったけど、一番好きなのが『流れ星レース』。

スピード感のあるレース
ライバル企業や裏社会の住人とのスリリングなせめぎあい
仲間たちとの絆や、幼馴染との関係など、とにかく内容が濃い。

また、テールらしさもぎゅっと詰まっている気がする。

仲間のために怒って、行動を起こす。
無謀と勇猛の境目を駆け抜けていくうち、やけっぱちが覚悟へと変わっていく。

読んでいるこっちも一緒になってハラハラしながら、行けー! と応援していた。

本作ですっかりテールのファンになってしまった。