いいや、一緒にサブレがいてくれるんだから。それだけでいい。

あらすじ

気にしすぎな女子・サブレと、彼女に片想いの男子・めえめえ。

サブレは夏休みを使って、ある“不謹慎な目的”のために祖父の家に泊まりに行くという。
誘われためえめえは一緒に行くと即答する。

色々なことを気にしすぎてしまうサブレ。
そのせいで周りからはちょっとめんどうな子だと思われている。

そんなサブレのことが好きなめえめえ。
そういうめんどうくさいところもサブレの個性として受け入れている。

友達にしろ家族にしろ、ありのままの自分を受け入れてくれる存在はとても貴重。

問題なのは、貴重であればあるほど、今の関係を変えるのはとっても怖いってこと。

高校生のめえめえとサブレは、クラスメイトで下宿仲間で気心知れた友達。
だからこそ、めえめえは想いを伝えられない。

一緒にお泊り旅という一大イベントだけど、“不謹慎”な目的があるので期待しすぎないよう自制している。

パジャマ姿にキュン! みたいな恋愛モノ定番の展開もない。

にも関わらず、なんか、ずっと、キラキラしている。
これぞ片想いのもどかしさ! って感じで読んでいて楽しい。

感情で押し切るのではなく、言葉でじっくりとお互いの距離を縮めていくのも、良い。

自分の感情を言語化するのは難しいし、ましてや他人の感情となるともっと難しい。
まいっか、と素通りしてしまいがちだけど、ふたりはいちいち足を止めて、言語化していく。

そんなふたりの姿は、とても誠実に見えた。

こんなにきちんと自分の気持ちを相手に伝えようとするキャラクターは、久しぶりに出会った気がする。