あらすじ
3Dホログラムの発達で、自宅にいながらリアルなライブやステージが見られるようになった世界。
そんな時代の流れに抗うルースのバンドは、小さな町のバーや倉庫を回る生演奏ツアーを続ける。
SFの短編~中編を収録した短編集。
3Dホログラムの発達で、自宅にいながらリアルなライブやステージが見られるようになった世界。
そんな時代の流れに抗うルースのバンドは、小さな町のバーや倉庫を回る生演奏ツアーを続ける。
SFの短編~中編を収録した短編集。
SFだけど、細かい設定は説明してくれない。
読んでいくうちに少しずつ、その世界の事情や、主人公が置かれている環境が見えてくる。
手探りで物語を進んでいく読書体験は、クセになるし、初回しか体験できない。
だから、非常にあらすじが書きにくい。
あらすじに書いた作品『オープン・ロードの聖母様』は、コロナ禍の先にあるかもしれない未来が舞台。
人々が外出を控えるようになった“あれ”をきっかけに、ナマのエンターテインメントは必要なくなった。
バーのステージでは3Dホログラムのブルース・スプリングスティーンが歌っている、そんな世界。
エンタメのホロ化をはじめ、自動運転車とか、電子決済とか、スマホとか、そういうあらゆる便利なものを主人公は拒否する。
不自由な自由を謳歌している。
収録されている作品はどれも、ちょっと不思議な世界と現実に片足ずつかけている感じ。
真ん中にある設定は突飛でも、その周辺を固める登場人物はみんな普通。
世の中のまどろっこしさとか、ままならない感じとか、それに心が振り回される感じはそのまま。
だから不気味なまでにリアリティーがある。
どこか殺伐としていて、切なくて、ちょっと怖い、短編集。