だれも本おじさんを助けられないの?

あらすじ

インドに住む9歳のヤズミンは、本が大好き。本おじさんが街角で開いている図書館へ通うのが日課。

ところがある日、市からの通知で本おじさんは図書館を続けられなくなってしまう。

本おじさんから借りた本からヒントを得たヤズミンは、市長選挙で本おじさんを助けようと考える。

いくら政治家が入れ替わったってどうせ金太郎飴でしょ?
自分の生活には直接関係ないし。

学生の頃はそう思っていて、政治にも選挙にもまったく関心が持てなかった。

これは9歳の女の子が、身近な人の危機を選挙で打開しようとするお話。

子どもの頃に、この本と出会いたかった。

活発でまっすぐなヤズミンに引っぱられて、どんどん話が進んでいく。

なぜ本おじさんが、こんなめにあわなければならないのか。
他にも本を借りていた人はたくさんいたのに、どうしてだれも本おじさんを助けてくれないのか。

大人はつい諦めたり、見て見ぬふりで片付けてしまうけど、ヤズミンはそこに正面からぶつかっていき、たくさん悩む。

悩みながら徐々に状況を理解していき、自由な発想でたどり着いた方法が選挙というのがおもしろい。

一生懸命なヤズミンに周りの友達や大人達が動かされていくところは、ぞくぞくした。

お話を読んでいると自然に、選挙や民主主義を知ることができる。

本おじさんが貸した本がヤズミンを導いてくれたように、本書もきっと、だれかを導く一冊になると思う。