ちょうどよくしあわせだ

あらすじ

検査にいった病院で、青砥(あおと)は中学生の頃にフラれた同級生・須藤(すどう)と久しぶりに再会する。

それなりに色々経験してアラフィフになった二人は、互いの苦労をいたわり励まし合ううちに惹かれていく。

青砥が、須藤と一緒に過ごした日々を思いだす形で物語は始まる。

初めは意味が分からなかったいくつかの言葉が、あとになって須藤の口から発せられるシーンがある。

ささいな日常を忘れられない青砥が、どれだけ須藤を大事に想っていたのかがうかがえて、切なくなる。

付き合うようになっても、須藤は青砥に頼ったり、甘えたりできない。
病をかかえていても自立した人間でいたいし、好きだからこそ見せたくない姿もある。

そんな須藤の気持ちを察して踏みこめない青砥。
それでこそ須藤だと思う一方で、やっぱり力になりたくて、断られると分かっているのに、相手の気持ちを確かめてしまう。

離れたくないから、一定の距離を保つ。

臆病なほど優しく寄り添い続ける青砥と、青砥の寂しささえも自分の責任であるかのように自立し続ける須藤の姿が、もどかしいけどとてもリアル。

恋にがむしゃらになれるほど若くないし、心細くても我慢できる程度にひとりのさみしさにも慣れてしまっている。

求め合っているのに、お互いを想うがゆえに、一緒にいられない。

とても抑制が効いた、不器用な大人の恋愛小説。