あらすじ
復讐代行業者は、その名の通り、依頼人に代わって復讐を遂行する者たち。
公的な機関に見放されたり、頼れない事情のある依頼人の想いを引き受け、ターゲットに屈辱を与える。
6本の連作短編リベンジミステリー。
復讐代行業者は、その名の通り、依頼人に代わって復讐を遂行する者たち。
公的な機関に見放されたり、頼れない事情のある依頼人の想いを引き受け、ターゲットに屈辱を与える。
6本の連作短編リベンジミステリー。
出てくる人物は全員、後ろ暗いところをかかえている。
リズミカルに進む会話の裏には、常にかすかな緊張感とサスペンスの予感がただよっている。何気ない会話のようでいて、ムダはひとつもない。
そして、主人公が登場した瞬間、物語がひっくり返る。
「今日は早く終わらせなくちゃ。夜には次の依頼人に会うんですよ」
なんて言いながらひょうひょうと復讐を遂行していく主人公は、なかなかつかめないキャラクター。
依頼人に気持ちを寄り添わせているように見えるけど、それにしては冷静すぎて、ターゲットを陥れることを楽しんでいるように見えることさえある。
どこまで本気なんだろう? と気づけばひっぱりこまれていた。
もうひとつ面白いのは、時系列をさかのぼっていく作品配置。
普通は物語が進むにつれ仲間が増えていくが、この作品の場合は逆。
最後までたどり着くと、主人公は何者なのか、復讐代行業者とはなんなのかがちょっとだけ見えてくる。
復讐ものなので、当然ハッピーエンドとはいかない。
1話ごとに欺かれる鮮やかな構成と、切ない結末は、読み終えたあともしばらく余韻が残る。