抵抗してもむだだぞ、わが息子よ。寝る時間だ

あらすじ

遠い昔、はるか銀河の彼方で……。

シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーは、反乱同盟軍の英雄たちと戦うべく、銀河帝国軍を率いる。だが、そのまえに、まずは4才の息子、ルーク・スカイウォーカーと遊んであげる必要がある……。

もしもダース・ヴェイダーが子育てをしたら……というルーカスフィルム公認の絵本。

宇宙の命運がかかる「スター・ウォーズ」の壮大な世界観と、ゆるい絵とお話、そのギャップがクセになる。ページをめくるたびに、場所や人物など、見覚えのあるものがたくさん登場して、原作映画が好きな人にはたまらない1冊。

映画では過酷な運命に葛藤しながらも勇敢に立ち向かうルークが、なんと2.5頭身の子どもになっている。

「パパ、パパ」とずっとヴェイダーの後ろにくっついてくる、素直で甘えん坊のルークのかわいさは悶絶もの。

そしてヴェイダーは、あの黒いマスクはそのままだけど、意外とちゃんとパパをやっている。言うことを聞かなかったり、仕事の邪魔をされたりしても、息子に尽くすヴェイダーの奮闘がほほえましい。

息子を自分と同じダークサイドの戦士に育てようとするヴェイダーだが、子どもは大人の思うようにはならないもの。

「そして父と息子として共に銀河を支配するのだ!」
「そしたらおやつくれる?」

映画では張り詰めた緊張感の中で放たれるセリフも、4才児にかかればこの脱力感。
そんなパロディーがあちこちにちりばめられている。

1冊を通して何か物語があるわけではない。1ページずつ日常のワンシーンを切りだしていて、アルバムをめくるような感覚に近い。

映画を見たことがない人でも……と言いたいところだけど、未見だと面白さが分からないシーンが結構ある。そして映画を見ているからこそ、このほのぼのしたやりとりがグッとくるわけで。

やっぱり、一度は映画を見てから読んでほしいかな。