こまっているヤツを助けてヒーローになるんだ!

  • バッドガイズ
  • 著 : アーロン・ブレイビー
    翻訳:中井 はるの
  • 出版 : 辰巳出版

あらすじ

悪いヤツだと誤解(?)され、みんなから怖がられているミスター・ウルフ。
ウルフは、自分と同じ悩みをかかえる(?)嫌われ者の仲間を集め「ヒーロークラブ」を結成。

困っているヤツを助けて、みんなから好かれるヒーローを目指す。

これを読み始めてすぐ、映画『ファインディング・ニモ』を思い出した。

「魚は友達、エサじゃない」を合言葉に捕食をやめようと誓うサメのグループ。
魚と仲良くしたいけど、近づくだけでビビられてしまう。
ところが当人はビビらせていることにまったく気づかず、ニコッとびっしり並んだ鋭い歯を見せつけて、さらに怖がられたり。

この作品の主人公達とよく似ている。
強者ゆえの鈍さと、純粋な心のギャップが愛らしい。

主人公のウルフは、前向きなんだけど思い込みが激しく、やることなすこと、ちょっと的外れ。

まずメンバー選びからしてよくない。
ヘビに、ピラニアに、サメ。
みんな見た目も実績も申し分ない嫌われ者。

おまけに全員、口を開けば
「もう、帰っていいか? ネズミを食いにいきたいんじゃ」
(ヘビだけに語尾が「じゃ」と気づくまで結構かかった……)
って調子で、悪いイメージを払拭しようなんて気はこれっぽっちもない。

ウルフはそんな彼らを強引に引っ張って、ヒーロー活動へ繰り出す。

肝心のヒーロー活動も、ウルフは「助けた!」と達成感を感じていても、助けられた方は彼らの姿に命の危機を感じて逃げただけだったり。
行く先々で阿鼻叫喚を巻き起こしていく。

それだけ怖がられながら、彼らのビジュアルがかなりファニーなのも、またギャップ。

すでに映画化も決まっているとかで、デコボコ4人組のどたばた珍道中がスクリーンで見れるなんて、そんなの面白いに決まってる!

続きが楽しみなシリーズがまたひとつ増えた。