あらすじ
いつもの帰り道、塀の上やバス停などにぽつんといる“くろいの”。
女の子以外の人には、見えていないらしい。
声をかけてみると、くろいのは女の子を大きな家へと案内する。
いつもの帰り道、塀の上やバス停などにぽつんといる“くろいの”。
女の子以外の人には、見えていないらしい。
声をかけてみると、くろいのは女の子を大きな家へと案内する。
主人公の女の子は幼稚園から小学校低学年くらいの年で、帰り道はいつもひとりだということしか分からない。
くろいのに話かけたり、あとをついていったりしても、女の子を気にかけてくれる人はいない。
もしかしたらあまり親しい人はいないのかな? と想像してしまう。
くろいのは、そんな女の子をちょっとだけ非日常に連れて行ってくれる。
くろいのは、その名の通り真っ黒な体で、無表情でしゃべらない不思議な存在。
二本足でとことこ歩いて、女の子にお茶を出したりと、やることはとても人間っぽいけど、なんなのかはよく分からない。
イラストはモノクロで、線の濃淡だけで描かれている。
くろいのに導かれていくにつれ、ページを占める線の量が増えていく。
線が増えれば当然ページは黒で埋まるけど、だからこそ光の柔らかさが際立って見えた。
この絵本では、黒はくろいのの色。
静かにそばに寄り添って、一緒に夢を見てくれるもの。
女の子も、真っ暗な場所をくろいのと一緒に跳ね回ったりしていて、闇をこれっぽっちも怖がっていない。
特に何が起きるわけではない。
ただ、くろいのと一緒にちょっと不思議な体験をするだけ。
それなのに、読み終わるとまた、くろいのに会いたいと思ってしまう。