りんごが ひとつ おちていた。みんな おなかを すかしているよ。

あらすじ

森の中にりんごがひとつ落ちていた。森の動物はみんなお腹をすかせている。

「えい!」ひとつしかないりんごをおさるがとった。森の動物たちは慌てておさるを追いかける。

「同じことをやってうけるのは3回までだ!」

ちゃんとした言い回しは忘れてしまったけど、三谷幸喜脚本の「笑の大学」の中でこんなセリフがあった。

そういえばこのおさる、特に追いつめられた時の顔が、どことなく三谷さんに似ているような……って、そんなこと言ったら怒られるか。いや、でも、きっと三谷幸喜ほどのお人なら、心底心外であるという顔をしながら同じ苦情をネチネチと3回繰り返してくれるかもしれない。

何が言いたいかっていうと、この絵本には、繰り返しの楽しみがあるってこと。

どうして同じことを繰り返すと面白いのだろう。このあとに同じことが繰り返されると分かっていても、どういうわけか笑ってしまう。

文章は少なく、ゆっくり読み聞かせてもあっという間に終わってしまう。でもこの絵本は、2回目、3回目に読んだ時の方が面白い。

なぜかって、話の内容を知っているから。

りんごを手に入れたおさると、おさるを追う動物たちが、文字通り崖っぷちで繰り広げる駆け引き。

どこで何が繰り返されるか知っているから、早くそこにたどり着かないかとワクワクしてしまう。しかもこの絵本の繰り返しは、つい声にだしたくなってしまう。

2周目以降、黙って聞いていられる子はどれだけいるだろうか。

なので、面白い絵本だけど、寝る前の読み聞かせにはまったくお勧めできません。