熊本のジジさまのところへ行って、ケモノを獲ってみない?

あらすじ

中学生の千里(せんり)はゲーム配信が趣味の都会っ子。

千里は母の勧めで、熊本で猟師をしている祖父のもとで猟の体験をすることになる。

今年は人里に下りてきたクマに人が襲われる事件が多い。

クマを駆除したニュースが流れれば、市役所に「クマがかわいそう」といった電話がかかってくるという。
地元の人ではない。県外など、遠くに住んでいる人からの抗議だ。

いびつだ。

確かに都市部に住む多くの人は、森や山を相手にして生きている人の現実を知る機会はない。

けれど、考えることをやめてはいけないはずだ。

多くの人と同じように、千里はそれまで、動物と肉の境目がどこにあるのかなんて一度も考えたことがなかった。

だから「YouTube映えする動画が撮れたらラッキー」くらいの軽い気持ちで猟についていく。
そしてケモノの命をとる現場の厳しさに、引いてしまう。

罠にかかったケモノと対峙するときの迫力や、動物から肉へなっていく生々しさは、真に迫るものがあった。

けれど千里が偉いのは、ただ気持ち悪いで終わらせないで、その正体をつかもうと再び山に挑むところ。

命をいただくこと。
生活を守るために、ケモノの命をとること。

それらに、わかりやすい答えが出ることはない。

自分で考え始めるきっかけとなる作品。