リアルなものを作るな。信じられるものを作れ

あらすじ

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作、映画『メッセージ(原題:ARRIVAL)』のアート&メイキング本。

原作と出会ってから映画化するまでの道のり、脚本、ビジュアルデザイン、視覚効果、音楽など設定資料や制作過程を解説。

記憶を消してもう一度見たい映画は?
と聞かれたら、三本の指に入るのが『メッセージ』。

ストーリーも映像もそれまでのSF映画とはまったく違って、映画館で見た時は打ちのめされた。

そんな大好きな映画のアートブックが発売された。
それも、限定2500部。増刷なし。

そんなの、買うしかないでしょ。

原作小説『あなたの人生の物語』の作者テッド・チャンによる序文。

ヘプタボットと呼ばれる宇宙人のビジュアルデザインや、彼らの宇宙船のCG処理。

ふたりのプロデューサー、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、サウンドトラックを担当したヨハン・ヨハンソンなどの貴重なコメントで語られる。

個人的に楽しかったのは、映画の中で鍵となるヘプタボットが使う文字のデザインについて。

コーヒーカップのシミみたいに見えるあの円形のロゴグラムのデザインは、実は水墨画からヒントを得たという話はとても興味深かった。

そんな未知の言語を使う生命体に
“あなたたちが地球に来た目的は?”
という質問をするには、言語学的にどんなアプローチが必要か。

映画の序盤で主人公が目的を語る大事なこのシーンは、脚本家がプロデューサーに説明した会話から生まれていたという裏話も、ファンには嬉しい。

登場人物たちの会話や映像が持つ説得力がどこから来ているのか、その解剖図を見ているような感覚だった。

読み終わったことだし、もう一回、映画見よう。