地図を手に入れたんだ。クジラの歯にほってあるんだよ

あらすじ

孤児院で育った少年ジャンゴは、えんとつを掃除している時に宝の地図が彫られたクジラの歯を見つける。

同じ頃、父だと名乗る紳士がジャンゴを迎えにきたが、幼い頃の記憶に残る父とは似ても似つかない。

ジャンゴはその男を利用して孤児院を抜けだして宝探しの旅へ出る計画を立てる。

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舞台は19世紀、アメリカ南部からメキシコを目指す冒険小説。

宝探しのワクワクに、馬車にジプシーにヒル治療など、開拓時代の文化が融合した、子どもも大人も楽しめる作品。

子どもを労働力として売るような孤児院で育ったジャンゴは、口が達者で知恵も働く。口八丁で大人をだし抜き、機転を利かせてピンチを切り抜ける軽快な姿は、ザ・冒険小説の主人公という感じがして気持ちがいい。

しかし、一緒に旅をする謎の男、その名も「ピーコック・ヘムロック・ジョーンズ氏」にはすべてお見通し。宝探しをしようとしていることもすぐにバレてしまう。

ジャンゴを超える切れ者のジョーンズ氏は、てっきりどこかの領主かと思いきや、実はいくつもの偽名を使い分ける根なし草。何を聞いてものらりくらりとかわされてしまい、いったい何者なのだろうと引きこまれていく。

逃げだしてひとりで宝探しをしようにも、金もアシもないからとりあえずジョーンズ氏についていくしかない。子どもと大人の力関係が妙にリアルだ。

それが分かっているジョーンズ氏はジャンゴをしばりつけたりしない。一人前として扱いつつも必要なサポートはちゃんとしてくれる。旅を続けるにつれ、奇妙な信頼関係が徐々に深まっていく。

そのうち他にも宝を探す者が現れるのだが、ジョーンズ氏は冷静を通り越してのんびりしている。それどころか馬と馬車を売ってしまって、いったい何を考えてるんだこいつは! とジャンゴと一緒になってイライラしちゃう場面も。

だがジョーンズ氏の行動には必ず意味がある。なかなか種明かしをしてくれないが、知的な話術と大胆な手段で必ず窮地を切り抜けてくれる。

ジョーンズ氏のサプライズ精神にまんまとのせられ、ふたりの旅を最後まで見届けてしまう。